婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

「そう、ですね。わたしはこれから、ひとりで生きていかなくては」
 生きていくのは大変だ。修道院と孤児院の生活で、サーラはそれを思い知った。
「今からそんなに気負う必要はない。ひとりで生活することができるようになるまで、俺が補佐する。だから、心配するな」
「……」
 どうしてそこまでしてくれるのだろう。
 聞きたかった。
 でも、ルースの妹に関わる話だろうから、迂闊に聞くこともできない。
 きっと彼にとって、つらい話だ。
「本当にいろいろと、ありがとうございます。どうやって恩返しをしたらいいのか、まだわかりませんが……」
 だから、代わりにそう言った。
「そんなものは必要ない。だが、お前が父親からも元婚約者からも逃げきって、ちゃんとしあわせになる姿が見られたら、俺は少しだけ、自分を許せるようになるのかもしれない」

 日が落ちた森は、完全に暗闇に閉ざされていた。月も星も見えないのは、生い茂った木々が空を覆っているからだろう。
 唯一の灯りは、目の前にある薪の炎だけ。