婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

「こんな状況に追いやられても、他の人間の心配をするのか。ただ俺は、妹にできなかったことを、代わりにお前にやっているだけだ。自己満足だと言っただろう?」
「妹……」
 そういえば彼には妹がいると言っていた。そして、その妹はもう亡くなっていると。
「とにかく俺のことは気にするな。今は自分のことだけを考えろ」
「……はい」
 詳しい話をするつもりはないらしい。
 亡くなった妹の話と言われてしまえば、こちらから聞けるようなことでもない。
 ただ彼にとって、サーラを助けることが救いになるのかもしれない。
 そうだとしたら、差し伸べられた手を払いのけるようなことはしてはならないと、サーラは思った。
「はい。よろしくお願いします」
 ルースがどんな過去を抱えているのか、サーラにはわからない。彼が話してくれない以上、探るつもりもない。
 だからその悲しみが少しでも癒されるように、ひそかに祈ることしかできなかった。


 人通りが途絶えた頃を見計らって、ルースは裏道に入った。サーラも慌てて彼の後を追う。