婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 サーラがこれからすることをすべて受け入れ、応援してくれているかのような、優しい目だった。
 その隣にいるキリネは、これが最後だと知っているから、少しだけ目が潤んでいる。それを見るとサーラも泣いてしまいそうになるが、今は堪えなければならない。
「本当に、お世話になりました」
 ふたりに、サーラは深々と頭を下げる。
 失敗ばかりのサーラを見捨てず、何度失敗しても経験にすればいいのだと優しく教えてくれた。その優しさに触れなければ、こうして戦う勇気が持てなかったかもしれない。
 子どもたちもサーラとの別れを嫌がり、縋って泣いてくれた。キリネと院長が宥めてくれなかったら、出発することができなかったくらいだ。
「サーラさん」
「アリス」
 走り寄ってきたアリスは、サーラを見上げ、目を潤ませながらも笑顔を向けてくれた。
「私はもう大丈夫です。だから心配しないでください」
 自分に似ていると思っていたアリスだったが、いつのまにかサーラよりもずっと、強くなっていたようだ。