婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 そう言うと、振り返ることなく立ち去っていく。
「……ルースも、訳ありなんだよ」
 そんな彼の後ろ姿を見送って、キリネはぼつりとそう言った。
「ずっとここにいるのが、ルースのためになるとは思えない。だからふたりで、ここを出たほうがいいよ」
彼女はある程度、ルースの事情を知っているようだ。
「大丈夫。私がちゃんと、院長先生とアリスにはこっそりと事情を説明するからね」
「はい。ありがとうございます」
 アリスには、心配をかけたくない。そう思っていたから、キリネの心遣いは有り難い。
 とにかく急いで準備をしなくてはと、キリネに追い立てられるようにして、サーラは旅支度を始めた。
 ひとりになったサーラは、ふと手を止めて考える。
 彼を巻き込んでまで、自分の意志を押し通すことが本当に正しいことなのか。
 どんなに考えても答えは出ないまま、それでも荷物をまとめて孤児院の院長に挨拶をする。キリネも見送りにきてくれた。
 キリネにすべてを聞いたのか、院長は黙って頷いてくれた。