婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 本当はふたりに、こんなことを打ち明けるべきではない。でも、言葉にしないと耐えられなかった。
 ふたりはサーラの話を静かに聞いてくれた。
「ひどい話だね。こんなにいい子が、どうしてそんな男と……」
 キリネはサーラのために怒ってくれた。それだけで、少し心が軽くなる。
 そしてルースは、震えるサーラの手を取った。
 ふいに感じた温もりに、驚いて顔を上げる。
「死ぬくらいなら、自由を得るために戦え。俺が、ここから連れ出してやる」
「えっ……」
 サーラは呆然として、自分の手を握っているルースを見つめた。
 逃げるなんて、考えたこともなかった。
 父に命じられた以上、どんなにつらくても命令を実行するしかないと思っていた。
 でもルースは、そんなサーラに戦えと言う。
「戦う? お父様と? そんなこと……」
 できるはずがない。
 とっさにそう思った。
 修道院での生活で、ようやく自由になれたと思っていたのに、自分は今でも父親に支配されたままなのだと気が付いた。