婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 サーラは自分の胸に手を当てたまま、しばらく厨房に佇んでいた。
 この痛みは、容易に消えそうになかった。

 そんなことがあっても、何事もなかったように日々が過ぎていく。
 変わったのは、たまにルースの姿を見かけると、少し胸が痛むことだ。
 どうしてこんな気持ちになるのか、自分でもわからない。ただ、少しでも彼の悲しみが薄れるように祈るだけだ。
 そのうち孤児院での生活にも少しずつ慣れてきて、あまり大きな失敗をすることもなくなっていた。
 パンも上手に焼けるようになった。
 子どもたちに読み書きを教えるのも楽しい。
 カーティスのこともエリーのことも忘れて、充実した日々を過ごしていた。
 キリネは教えるのが上手で、できないことがあっても丁寧に説明してくれる。だから彼女に色々なことを教わるのが、本当に楽しかった。
 ずっとこんな日が続けばいいと、願っていた。
 だが、ある日のこと。
 厨房で後片付けをしていたサーラは、孤児院の院長に呼び出された。
(何かあったのかしら?)