婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 発した声はみっともないくらい震えていたが、声を出したことで少し落ち着きを取り戻した。
 雷は、きっとすぐに通り過ぎる。それまで、こうしてじっとしていればいい。
「駄目だ」
 そんなとき。
 ふと誰かの声がして、腕を引かれた。
 驚いて顔を上げると、外套のフードを深く被った人物が、サーラとアリスの腕を掴んでいる。
 低い声に逞しい腕。男性だ。
「……っ」
 驚いて身を引こうとしたが、それよりも先にアリスが、その男性の腕にしがみついた。
「大木の真下にいるのは危険だ。雷が落ちる可能性がある」
 聞き覚えのある声。
 アリスの行動に驚くサーラにこう言ったのは、孤児院の雑用をしているルースだった。
「ルースさん」
 彼は、ふたりを迎えにきてくれたのだ。
 安堵から、思わず名前を呼んでしまう。
 ルースはそんなサーラに頷き、ふたりの手から荷物を引き取ってくれた。
「ここから離れなくては。もう少し先に、安全に雨宿りできる場所がある」

 叩きつけるような強い雨。