婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 危ない場所ややってはいけないことなど、注意が多いらしいが、アリスを始めとした子どもたちも、そんな彼を慕っているようだ。
 サーラも初めてパン作りをしたとき、話しかけることもできずに狼狽えていた。それなのに、嫌な顔ひとつせずに、優しく対応してくれたことを思い出す。
(優しい人なのね)
 子どもたちの安全を考え、過剰くらい注意しているのも、ルースが優しいからだ。その忠告を無視してはいけない。
 そう考え、かなり遠回りをして立ち寄ったのは、町の中心にあるパン屋だ。
 店先から香ばしいパンの香りや、甘いジャムの香りが漂っている。ここのジャムが一番おいしいと、キリネが力説していた。
 店番をしていたのは優しそうな壮年の女性で、目を輝かせているアリスに色々なジャムを試食させてくれた。
「やっぱり木苺がいいかしら?」
 モーリーはいちごが好きらしいが、季節柄、木苺のほうがよさそうだ。サーラの提案に、アリスも大きく頷く。
「うん。これがいいと思う」
 甘酸っぱくておいしいと、何度も言っていた。