婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

「ええ、知っているわ。だからジャムクッキーを作りましょうね」
 そう言って頷いてみせるが、サーラよりもアリスのほうがクッキー作りはずっと手慣れている。出発前にキリネに、何が必要なのかをしっかりと確認してから、商店街に急いだ。
 孤児院は、町はずれに建てられている。
 だから町の中心に行くには、小川沿いの道を二十分ほど歩かなければならない。
 あまり大きな道ではないから整備もされておらず、石が点在して歩きにくい。ところどころ、大きな木の根が歩道にも浸食していて、気を付けなければ足を取られてしまいそうだ。
 整備されていない道を歩きなれていないサーラのほうが、足が遅い。アリスは楽しい買い物に駆け出しそうになるのを堪えて、サーラのためにゆっくりと歩いてくれる。
(本当に、優しい子……)
 自分は同じような年の頃、こんなに気遣いができていただろうか。思い出してみると、自分のことだけで精一杯だった気がする。
 こんなに優しい子には、しあわせになってほしいと、心からそう願う。