婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 でもこうして静かに生活をしていると、今度はひとりだけ平穏を手にしてしまったことに対する罪悪感が、いつまでも胸にから離れない。
 そのせいで、少し考えすぎてしまったのかもしれない。
 つい寝そびれてしまい、サーラは寝不足でぼうっとしたまま、朝から仕事をしていた。
 いつのまにか吹く風も冷たく、洗濯をしていると手が凍えるようだ。
 カーティスに婚約破棄を突き付けられたのは、まだ暑い時期のことだった。この地方が王都よりも寒いせいもあるが、それだけの時間が流れている。
(季節が変わろうとしているのね)
 ふと、生まれ育った屋敷を思い出す。
 母の好みで秋に咲く花が多かったから、今頃は色とりどりの美しい花が咲き乱れているかもしれない。
 懐かしいとは思うが、帰りたいとは思わない。
 ふと洗濯の手を止めて、サーラは微笑む。
 花は、ここにも咲いている。
 踏み固められた固い土から茎を伸ばして咲いている花は、屋敷に咲いているものと見劣りしないくらい綺麗だった。
「できた」