婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 ここに来てからずっと忙しくて、カーティスのこともエリーのことも、ほとんど思い出さなくなっていた。
 今まで子どもと接したことはほとんどなかったが、ここにいる子どもたちは皆、素直で可愛らしい。
 何より、まだ不慣れで失敗ばかりのサーラにも、何かしてあげるとありがとうと言ってくれる。
 キリネも、孤児院の院長もそうだった。
 手伝ってくれてありがとう。運んでくれてありがとう。
 そう言われる度に、嬉しかった。
今まで誰かのために何かをしても、お礼を言われたことなど一度もなかったのに。
 公爵家で暮らしていたときよりも、まだカーティスと何事もなく婚約者同士でいられたときよりも、今が一番しあわせだと感じていた。
 できるならこのまま、孤児院で働きたかった。
 でもサーラは手伝いに来ただけなので、必要がなくなればあの修道院に帰らなくてはならない。もしずっと忙しいままなら、ここにいられるかもしれない。そんなことを考えていた。
「サーラ、今日はパンを焼くから手伝っておくれ」
 そんなある日。