婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 労わるようにそう言われて、サーラは首を振る。
「いいえ、わたしなど。今までどれだけ恵まれた生活をしていたのか、思い知りました」
「そう思えたことは、きっとこれからの財産になってくれるわ。これからよろしくね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
 深々と頭を下げると、彼女は少し驚いたようだ。
 いくら修道院に入ったとはいえ、訳ありの場所であることは知っているのだろう。貴族の子女だったサーラが、平民である自分に頭を下げるとは思わなかったのかもしれない。
 ここで家事をしている女性は、サーラの母親くらいの年代の女性だった。サーラは主に、彼女の手伝いをすることになる。
 最近まで、孤児でも一番年長の女の子が手伝ってくれていたらしいが、その子は気立ての良さを買われて、ある商人の養女になったらしい。孤児になってしまった子どもたちの中でも、そんな幸運は稀なことだと、その女性はしみじみとそう言った。それくらい、良い子だったようだ。
 彼女はキリネと名乗った。