婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 キリネに手作りのパンも披露した。
 ティダ共和国では、短い時間だったが、パン屋で働いたこともある。そう伝えると、キリネの驚いたようだった。
「これは上達したね。最初の頃が嘘のようだよ」
「頑張って、何度も練習しました。働くのも、とても楽しかったわ」
 パン屋で働くのは、サーラの夢だった。
 自分の働きで家を借りることができたのも、嬉しかった。
 それを手放させてしまったことを、ルーフェスはまだ申し訳ないと思っているようだったが、今のサーラはあの頃よりもずっと幸せだ。
 ルーフェスの腕に掴まって、甘えるように擦り寄る。
 公爵家当主に復帰した直後、彼にも見合い話が山ほど持ち込まれたらしい。以前の婚約者はもう他の人と結婚していたが、その妹との縁談を持ちかけられたりもしたようだ。
 だがルーフェスは、すべてきっぱりと断ってくれた。
 公爵家の当主として、貴族との繋がりはとても大切だろうに、サーラ以外の女性を妻にするつもりはない。そう言ってくれたのは、とても嬉しかった。