婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 驚いて顔を見合わせるルーフェスとサーラに、レナートは、あの時はその報告だと思っていたと言って笑う。
 エリーレの日記を渡したときのことのようだ。
「でもわたしは、リナン王国出身で、あのお父様の……」
「今はティダ共和国の定住許可証を得たのだろう。どこかの帝国貴族の養女になれば、何も問題はない」
 もちろんふたりで、いずれはそうしたいと話し合っていた。
 でもリナン王国との問題が片付くまでは、許可は下りないと思っていたのだ。
 それに皇帝のレナートは、生まれる前の我が子を失ったばかりだ。
 そんな時期に、側近のルーフェスが婚約してもいいのだろうか。
 サーラは戸惑ったが、どうやらリナン王国との問題に、レナートは本格的に取り組むようだ。その前に、サーラの身の上をきちんとしておきたいという事情もあるらしい。
「幸せが、いつまでも続くとは限らない。その手の中にあるうちに、しっかりと掴むべきだろう」