婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 皇太子の求婚を断ることができずに、その婚約者になってしまったのではなかったのだ。彼女は、愛する皇太子のため、その隣に立てるようにと、必死に妃教育に取り組んでいた。
「彼女は、父の命令に逆らえずに、ただ言いなりになっていたわたしとは、違っていたわ」
 愛していた。
 だから、耐えられたのだ。
 それを周囲にけっして伝えなかった理由も、今思えばとても悲しいものだ。レナート本人、せめてマドリアナがエリーレの想いを知っていれば、あの悲劇は防げた。
 マドリアナと一緒に、レナートを支えたい。
 その願いは叶わなかった。
 けれど、まだ残された願いはある。
 どうかレナートを支えてあげてください。
 そう書かれた妹の文字を、ルーフェスは静かに見つめていた。
「……この件が終わったら、俺は今度こそ爵位を返上して、一緒にティダ共和国に帰るつもりだった」
 どのくらい、そうしていただろう。
 やがてルーフェスは静かに、その胸の内を語ってくれた。