婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 少しずつ何かが違っていたら、しあわせな未来が待っていたはずだ。
 それを思うと、切なくなる。
 レナートが彼女を婚約者として発表する前にはもう、エリーレは彼のことを深く愛していた。もしルーフェスが婚約を回避するために妹を連れて逃げようとしても、きっと拒んだだろう。
 日記の最後には、最近体調が優れないこと。もし自分に何かあったら、兄とマドリアナにレナートを支えてほしい、と記されていた。
 サーラはそっと、その文字を辿る。

『お兄様、迷惑ばかりかけてしまってごめんなさい。
私の我儘で、お兄様には苦労をかけてしまいました。
体調は良くなるどころか、ますますひどくなっているように思えます。
でも、もしこのまま回復しなくても、私は愛する人に愛され、お兄様に大切にしてもらって幸せでした。
どうかレナートを支えてあげてください。
私は彼を、とても愛していました』

「……」
 もしこの日記が、彼女の死後すぐに発見されていたら。