婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 帝国の本には、少し興味がある。
 手渡された鍵を使って、図書室の扉を開いた。
「まぁ……」
 中を見た瞬間、思わず声を上げる。
 壁一面に本棚が並べられ、そこにはたくさんの本が隙間なく並べられていた。侍女の話によるとルーフェスの妹のエリーレは本が好きで、時間があればここに籠って本を読んでいたらしい。
(……お会いしてみたかったわ)
 そっと本の背表紙を指でなぞりながら、そんなことを思う。
 きっと美しく聡明で、心優しい女性だったのだろう。
 帝国の歴史やマナーの本などを読みながら、サーラは静かな時間を過ごしていた。
 そんな、あの日のことだった。
 この日もひとりだったサーラは、図書室に向かい、そこで本を読んでいた。
 そこでふと、興味を惹かれて手にした一冊の本。
 タイトルが書いていないことに気が付いて開いて見ると、どうやら日記のようだ。
(日記……。誰の?)
 思わず視線を走らせると、兄としてルーフェスの、婚約者としてレナートの名前が記されている。