婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 父はリナン国王と共謀して、帝国の皇族であるリナン王国の王妃を陥れたのだから、それも当然かもしれない。
 サーラはその視線を受け止めるように、まっすぐに前を向いていた。
 たとえリナン王国を出て父との縁を切ったとしても、その血を引いている事実だけは変えられない。父に対する恨みがこちらに向いたとしても、それを受け止めなければと覚悟を決める。
「サーラは、共和国の定住許可証を得ています。今では正式な共和国の国民です」
 そんな悲壮な決意をしたサーラを庇うように、ルーフェスがやや語気を強めてそう言った。彼の剣幕に驚いたように目を細めたレナートは、静かに頷く。
「そうであったな。彼女はロードリアーノ公爵の大切な客人のようだ。謂れなき悪意を向けることは許さぬ」
 レナートがそう言い放つと、サーラに向けられていた視線は嘘のように霧散した。
 内心はどうかわからないが、表向きは平穏に戻っている。
 見事な統率に驚くと同時に、彼が独裁者になるかもしれない危険性を孕んでいることに気が付いた。