あの頃、彼にとってサーラは敵でしかなかった。それをよく知っている。
「父に、俺はサーラに見捨てられたのだと言われた。もう俺を王妃として補佐することはできない。そう思ったからこそ、すべてを捨てて去って行ったのだと」
その言葉に、サーラは少し笑う。
自分の父ははっきりとサーラに失望していたが、国王陛下は少し好意的に見ていてくれたようだ。
だが、それでもサーラが王妃失格の烙印を押された事実は変わらない。
「見捨てられたのは、わたしの方です。この程度の騒動を治められないようでは、王妃は務まらないと思われたのでしょう。ですが、わたしはそれでもかまわないと思って、家を出ました」
「……サーラ。君は婚約者となってから、いつも俺を支えてくれた。そんな君を、俺はそこまで追い詰めてしまったのか。すまない。本当に……」
彼の謝罪はきっと、本物なのだろう。
でも、サーラの心には少しも響かない。だってカーティスの本質は、何ひとつ変わってはいないの だから。
「父に、俺はサーラに見捨てられたのだと言われた。もう俺を王妃として補佐することはできない。そう思ったからこそ、すべてを捨てて去って行ったのだと」
その言葉に、サーラは少し笑う。
自分の父ははっきりとサーラに失望していたが、国王陛下は少し好意的に見ていてくれたようだ。
だが、それでもサーラが王妃失格の烙印を押された事実は変わらない。
「見捨てられたのは、わたしの方です。この程度の騒動を治められないようでは、王妃は務まらないと思われたのでしょう。ですが、わたしはそれでもかまわないと思って、家を出ました」
「……サーラ。君は婚約者となってから、いつも俺を支えてくれた。そんな君を、俺はそこまで追い詰めてしまったのか。すまない。本当に……」
彼の謝罪はきっと、本物なのだろう。
でも、サーラの心には少しも響かない。だってカーティスの本質は、何ひとつ変わってはいないの だから。



