婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 俯いた彼の姿から、その葛藤が伝わってくる。
 サーラはただその背を、抱きしめることしかできなかった。

 旅は、順調だった。
 ソリーア帝国とティダ共和国の国境には、船で渡らなくてはならないほど大きな河がある。国境なので、当然のように警備は厳重で、通過するためには審査を通過しなくてはならない。
 ティダ共和国の住民権を持っている者で、五日ほど。持っていない者ならば、十日以上の時間が必要だった。
 だが、ルーフェスにはまだ定住許可証が下りていなかったこともあり、彼の身分はまだソリーア帝国の貴族のままだ。
 ロードリアーノ公爵家の当主が帝国に帰るのだから、制限などあるはずもなく、ふたりはあっさりと国境を越えることができた。
 大きな河を越えると、そこにはもう帝国の街並みが広がっている。
(ここが、ソリーア帝国……)
 最近はやや権威が落ちてきたとはいえ、大陸屈指の大国であるソリーア帝国は、今までサーラが見てきたどの国よりも整然としていた。