婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 宿に入って一息つく頃には、ルーフェスもだいぶ落ち着きを取り戻していた。
 サーラが夕食の準備をしている間、彼は、カーティスの手紙をもう一度じっくりと読み直していた。
「レナート皇太子殿下が、皇帝に……」
 かつて妹の婚約者として、皇太子とは近しい存在であったルーフェスは、彼が父である皇帝を廃してまで皇位に就いたことに、疑問を抱いたようだ。
「帝国に入る前に、少しその辺りを探ったほうがいいかもしれない」
 瞳を細めてそう言うルーフェスは、すっかりいつもの彼に戻ったように見える。
(でも……)
 表面上は普通に見えるのに、サーラには、彼が様々な感情を必死に押し込めているのがわかってしまう。
(わたしにできることなんて、ほとんどないけれど。でも、こうして寄り添うことはできるから)
 そんな想いを込めて、静かに彼に寄り添った。 

 宿の中で夕食を済ませた後、ルーフェスは情報収集をしてくると言って、夜の町に出かけて行った。