婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 サーラは両手をきつく握りしめて、彼を見つめた。
(ルーフェス……)
 最初は、彼には知らせない方がよいかもしれないと思った。
 ルーフェスはまだ、妹の死から立ち直っていない。
 それなのに、最愛の妹が本当は殺されたのだと知ったら、どれだけつらい思いをするだろう。
 でも彼は、妹を死なせてしまった罪悪感をずっと抱えている。
 その死因が過労による病ではないのであれば、ルーフェスのせいではない。それだけは、知ってほしい。
「……何てことだ」
 手紙が、はらりと床に落ちた。
 ルーフェスは片手で顔を覆い、もう片方の手は、残酷な真実に耐えるように、きつく握りしめられていた。
「皇太子妃……。まさか、あのマドリアナが」
 ルーフェスの妹エリーレが、仲良くなったと嬉しそうに話していた、皇太子のもうひとりの婚約者。
 ピエスト侯爵家の娘マドリアナが、エリーレを殺した。
 そのまま崩れ落ちそうなルーフェスに抱きつき、サーラは全身で彼を支えた。
「……帝国に、行かなくては」