婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 だが、サーラが行方不明になったと聞いた瞬間、その躊躇いも消え去った。
 一時期、行方が分からなくなっていた彼女だったが、隣町にある孤児院の手伝いに行っていたことが判明した。そこから修道院に帰る途中、孤児院から護衛代わりに付き添っていた雑用係とともに、姿を消してしまったのだ。
 調査の結果、人買いに攫われたようだと判明した。
 王都の外の治安がそこまで乱れていたことを、王太子であるはずのカーティスも知らなかった。
 貴族社会でも際立って美しかったサーラが、無防備に郊外を歩いていることがどれだけ危険なことなのか。彼女自身も知らなかったに違いない。
 いくら捜索しても手掛かりすら掴めず、サーラの父のエドリーナ公爵でさえ、もう娘のことは諦めてしまったようだ。
 あなたを一途に想っていた娘のことを、どうか忘れないでほしい。
 そう訴えられ、カーティスはとうとう王太子の地位を返上することにした。
 サーラには、何の咎もない。
 ただ一途に自分を想っていてくれただけだ。