婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 そう言って受け取ってくれた彼の隣に座り、まだ熱いお茶を両手で包み込むようにしながら、一口飲む。
(……おいしい)
 公爵家で日常的に飲んでいたお茶と比べるとかなり安価なものだが、彼と並んで飲むお茶は、前に飲んでいたものよりも特別に感じる。
 ふたりとも口数が多いほうではない。旅をしている最中も、沈黙が続くことはよくあった。
 でも、とても心地良い空間だった。
「明日になったら早速、定住許可証の手続きをしよう」
 お茶を飲み終わる頃に、ようやくルーフェスがそう言った。彼の提案に、サーラはこくりと頷いた。
「そうね」
 その許可証がないと家を借りることはできないし、仕事にも就けない。何よりも先に、それを得るべきだろう。
「許可証を発行してもらうのは、それほど難しくはないはずだ。きっと大丈夫だろう」
「……うん」
 少し不安だったのが、彼には伝わったのかもしれない。その不安を吹き飛ばすように、サーラは笑みを浮かべた。
 翌日、ふたりは役場に行って手続きをした。