婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 ルーフェスは口数少なく、馬車の中でも途中で泊まった宿でも、ほとんど話さない。
 もともと口数の多い人ではなかった。
 でも今は過去の話をしたことで、妹のことを思い出し、少し塞ぎ込んでいるのかもしれない。
 悪いことではないと思う。
 あれほど大切だった妹のことを、無理に忘れる必要などないのだから。
 今の彼に必要なのは安易な慰めではなく、時間だ。
 だからサーラも何も言わず、ただ静かに窓の外を見つめていた。
 そんなルーフェスも、目的地が近付くにつれ、少しずつ元気を取り戻していた。
 彼もまた、少しずつ前に進もうとしているのかもしれない。
「明後日には、ティダ共和国に辿り着けるだろう」
 何回か乗り換えた馬車の中で、彼はそう言った。
 その声は、港町を旅立ったときよりも明るい。
 それを何よりも嬉しく思いながら、サーラは頷いた。
 ティダ共和国の国境に、警備兵はいない。基本的に誰でも出入りできるようになっているようだ。