婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 でも、今まで父親の言葉に従っていただけのサーラにとって、すべてが初めての経験だった。
 修道院にいたときでさえ、望みは、静かな生活を送ることだけしかなかったのに。
 孤児院で過ごした日々。
 そして、こうしてルーフェスと旅をした経験が、サーラを父の操り人形から、自分の意志を持った人間に変えてくれたのかもしれない。
 疾走する馬車の窓から、外の景色を眺めながら思う。
 これから自分はどう変わっていくのだろう。
 それが少し怖くて、楽しみでもある。
 そう思うことができるようになったのも、ルーフェスがあの国から連れ出してくれたからだ。
 いつか彼もまた過去の悔恨から、解き放たれる日がくればいい。
 今のサーラには願うことしかできないけれど、もしルーフェスのためにやれることがあれば、何でもするだろう。

 町に到着し、宿に一泊してから、また次の馬車で目的地を目指す。
 移動にも時間が掛かってしまうが、周囲の状況を探りながら、サーラの体調も考慮してゆっくりと進むことにしたようだ。