婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 美しいが少し気位が高く、サーラも彼女と会うときは少し緊張してしまうくらいだ。だが、自分の役割を理解してきちんと果たす女性でもある。
 間違ってもエリーのような存在を許すような人ではない。
 自分よりはよほど、王太子妃にふさわしいとサーラも思う。
「そうですか。おめでとうございます」
 そう言って笑顔を向けると、彼はつらそうな顔をして目を逸らしてしまう。
「君は……。それでいいのか。今までの努力がすべて無駄になってしまうというのに」
 努力を無駄にした張本人にそう言われて、思わず苦笑いをする。
 でも、答えに迷いはなかった。
「ええ、構いません」
 たしかに妃教育は厳しかったが、今となっては解放された喜びしかない。それに、その努力が無駄になってしまったのはカーティスのせいだ。彼にそんなことを言われたくはない。
 わずかに覚えた怒り。
 だが、カーティスはそんな些細な変化に気付くような人ではない。ただひたすらサーラのために何かしたいと言う。