婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 それに皇太子の婚約者には、宰相を務めるピエスト侯爵家の令嬢、マドリアナでほぼ決定していると言われていた。幼い頃から皇妃となるべく教育を受けてきた彼女と皇太子の寵を争うのは、あまりにも過酷すぎる。
「わたしでは、役不足です。殿下に見合うだけの知識も教養もありません」
 エリーレも、そう言って辞退し続けていたようだ。
 だが、皇太子は諦めなかった。
 必ず守るから、どうかこの手を取ってほしい。
 真剣な眼差しで愛を囁かれ、相手が皇太子であることもあって、はっきりと拒絶することは難しかった。
 こうなってしまえば、もう妹が皇太子の婚約者になることは、避けられない。それを悟ったルーフェスは、せめて妹は側妃候補としてほしいと懇願した。
 ソリーア帝国では、皇太子は複数の女性と婚約することがある。
 そして最初の婚約者が、皇太子妃となることが多かった。
 だから先に皇太子とマドリアナが婚約し、彼女が皇太子妃候補としての地位を確立したあとに、エリーレとの婚約を発表する。