そこからは、賑やかな町の様子が一望できるはずだ。けれど今のルースの瞳には、何も映っていない。おそらく彼が見ているのは、過ぎ去った過去の幻。
「ルーフェス・ロードリアーノ。妹を守れなかった、愚か者の名だ」
聞いてはいけない話だ。
ずっとそう思っていた。
でも彼が語りたいのであれば、それを静かに聞くことくらい、自分にもできるはずだ。
サーラは声ひとつ出さずに、淡々と語られるルースのひとりごとのような言葉を受け止めた。
◆◆◆
ルーフェスは、ソリーア帝国の公爵家の嫡男として生まれた。
ロードリアーノ公爵家は、家柄こそ古く由緒ある家系だったが、長い歴史の中で少しずつ衰退し、権力からも遠ざかっていた。
ルーフェスの祖父も父も、王都から離れた領地を発展させることに力を注いできた。
そんな両親を早くに亡くしたルーフェスは、まだ若いうちにロードリアーノ公爵家の当主となった。そのときには祖父母も亡くなっており、彼の家族は、妹がひとりだけだった。
名を、エリーレといった。
「ルーフェス・ロードリアーノ。妹を守れなかった、愚か者の名だ」
聞いてはいけない話だ。
ずっとそう思っていた。
でも彼が語りたいのであれば、それを静かに聞くことくらい、自分にもできるはずだ。
サーラは声ひとつ出さずに、淡々と語られるルースのひとりごとのような言葉を受け止めた。
◆◆◆
ルーフェスは、ソリーア帝国の公爵家の嫡男として生まれた。
ロードリアーノ公爵家は、家柄こそ古く由緒ある家系だったが、長い歴史の中で少しずつ衰退し、権力からも遠ざかっていた。
ルーフェスの祖父も父も、王都から離れた領地を発展させることに力を注いできた。
そんな両親を早くに亡くしたルーフェスは、まだ若いうちにロードリアーノ公爵家の当主となった。そのときには祖父母も亡くなっており、彼の家族は、妹がひとりだけだった。
名を、エリーレといった。



