婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 ルースは扉をきっちりと閉めて鍵をかけた。外套を脱ぐと、そのままサーラの向かい側に座る。
「何があった?」
 ここに来るまで、あの女性とは、会わなかったのだろうか。
「……っ」
 そんなことを考えていたとき、不意に覗き込まれ、慌てて身体を離す。でもすぐに過剰な反応だったと気が付いて、視線をルースに向けた。
 彼は心配してくれただけだ。
「すまない。不躾だった」
 そんなサーラの様子に、ルースはそう謝罪して離れた。
「い、いえ。わたしが、悪いのです。ただ、少し驚いただけで」
「俺と別れたあと、何かあったのか?」
「……」
 言わないほうがいいのではないかと思っていた。きっと彼にとっては、つらい過去の話だ。
 でも、何もなかったと平気なふりをすることができなかった。ならば、変に隠さないほうが良いのではないか。
 それに、人のよさそうな女性だったが、何も知らないサーラには、彼女がルースにとって敵ではないとは言い切れない。
「部屋に戻る直前に、ひとりの女性に声をかけられました」