婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

ルースはそれを叶えてくれた。
 彼には彼の理由がある。サーラのためだけに、動いているわけではない。
 それでも、初めてサーラの願いを叶えてくれたルースは、サーラにとって特別な人だ。
 胸に宿った小さな灯り。
 それが何なのか、まだサーラにもわからないけれど、大切にしたいと思う。

 こうして船で渡った港町で、サーラは数日間、ゆっくりと過ごした。旅の疲れも思っていたより少なく、体調も悪くはない。いつでも出発できる体勢は整っていた。
 今のうちに、少しでも遠くに逃げたいという気持ちはある。でも、ルースが探ってきた情報によると、父はまだサーラの行方を掴んでいないようだ。
 おそらく孤児院を出たサーラが、盗賊や人身売買などの裏社会に属する者達に襲われたと思っているのだろう。だからまずは、そちらの方面の情報を集めているのかもしれない。
 今まで一度も父に逆らったことがなかったサーラが、自分の意志で出奔する可能性など、まったく考えていないに違いない。