婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

「何か選択肢を間違ったの? どうやったらやり直せるの?」
 エリーは最後まで、ここはゲームの世界などではないこと。
 自分が男爵の野望のために利用されたことを、知らないままだった。

 やがて出航した船は、ゆっくりと大海原を進んでいく。
 窓のない船室では、その景色を眺めることは不可能だ。でもサーラには、その様子をはっきりと思い描くことができるような気がする。
 朝霧が立ち込める海を、大きな旅客船がゆっくりと進んでいく。
 少しずつ遠ざかる港町。
 それは、生まれ育った国を離れていくことだ。もう戻れないかもしれない祖国。
 まだ油断してはいけないとわかっている。
 でも、追手に見つかることなく無事に船に乗り、出航できた高揚感から、サーラは両手を握りしめた。
 こんなに清々しい気持ちは、生まれて初めてだ。
 新しい人生への、まさに船出。
(わたしは、これから生まれ変わる)
 まるで宣誓のように心の中でそう呟き、ゆっくりと瞳を閉じた。
 エドリーナ公爵家の令嬢だったサーラは、もういない。