婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 まだ幼さの残る可愛らしい顔立ち。
 あんなに愛らしく、守りたいと思っていた彼女が、今はとても忌々しく思える。
「暴れるな!」
 怒声が響いた。
 華奢な身体は衛兵に取り押さえられ、ここから引きずり出されようとしている。エリーは、自分を拘束する腕から逃れようと必死にもがくが、か弱い少女は簡単に取り押さえられてしまう。
 逃げられないと悟ったエリーは、必死に叫ぶ。
「助けて! カーティスさま!」
「……」
 少し前なら、エリーにこんな声で助けを求められたら、何を犠牲にしても助け出しただろう。だが今は、悲痛な叫び声にすら苛立ちを感じる。
 リナン王国の王太子カーティスは、不快さを隠そうともせずに目を逸らした。
(騙されていた。エリーは、自分が聖女だった頃の記憶があると言っていたというのに)
 さすがにカーティスも、聖女が好んでいた料理を作ったというだけでエリーが聖女だと信じていたわけではない。
 彼女ははっきりと自分にだけ、聖女であった頃の記憶が残っていると告げたのだ。