婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 そんな状況に危機感を覚えた王妃は、カーティスの婚約者として、トリスタンの娘であるサーラを望んだ。
 サーラは外見こそ華やかで美しいが、おとなしくて物静かな娘だ。
 王妃は、そんなところも気に入ったのだろう。
 実家に権力はあるが、サーラ自身はけっして王妃に逆らうようなことはないと思われる。
(そのように教育したのだからな。貴族の娘はそうでなくてはならない)
 父に、夫に忠実に従うべきだと、トリスタンは思っていた。
 この婚約に、当然のように国王は難色を示した。
 それでも他に、有力な候補がいるわけでもない。
 王妃の懇願を正当な理由もなく退けることができなくて、とうとう根負けするようにふたりの婚約が決まってしまったのだ。
 トリスタンは国王に合わせて苦い顔をしていたが、娘が王妃になるのも悪くはない、と思っていた。
 次期国王の義理の父になれるのだ。帝国の後ろ盾も、うまく利用すれば強力な武器になる。
 このままいけば、エドリーナ公爵家の力はさらに増すだろう。