婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

「カーティス殿下には、学園内で親しくしている女性がいました。彼女は少し変わっていて、殿下は彼女のことを、聖女だと思い込んでしまったのです」
 サーラはゆっくりと、今までの事情をルースに語った。
 エリーが、聖女と思わせるような行動を取っていたこと。
 そんなエリーに夢中になったカーティスが、自分を軽んじるようになったこと。
「父はわたしに、その騒動を治めることを期待していました。でもわたしは、その責任と義務から逃げてしまったのです」
 カーティスから向けられた、冷たい蔑みの視線を思い出す。
 エリーを大切そうにその腕に抱きながら、彼は犯してもいない罪でサーラを裁こうとしていたのだ。
 そのときのエリーの、勝ち誇ったような歪んだ笑顔が、今でも脳裏に焼きついている。
「あ……」
 気が付けば、涙が頬を伝っていた。慌てて顔を逸らして、涙を拭う。
「……ごめんなさい。あの頃の気持ちを、思い出してしまって」
 ふと顔を上げると、ルースが労わるような優しい瞳で、サーラを見つめていた。