婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

「おそらくまだ気付かれていないはずだ。心配するな。必ず、ティダ共和国まで送り届ける」
 サーラは彼に、すべてを語ってはいない。
 それでもサーラが語った話でだいたいの事情を理解し、貴族の女性の行方を探している者がいないか、探ってくれていたようだ。
 彼はその場しのぎではなく、本心からサーラを助けようとしてくれている。
 父はおそらく、サーラが逃亡したのだと知ったら、容赦はしないだろう。彼を巻き込んでしまう可能性もある。だからルースには、きちんとすべての事情を説明しておくべきだ。
 サーラはそう決意して、心を落ち着かせるように深呼吸したあと、ゆっくりと語り出した。
「……聞いてほしいことがあるの」
 サーラが真剣な顔をしていることに気が付いたルースが、荷物を整理していた手を止めて、こちらを見た。
「何だ?」
 ぎしりと音がした。ルースは、サーラが腰を掛けていた寝台の向こう側に座っていた。真剣な話だと察し、しっかり聞こうとしてくれたのだろう。