婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 商船のほうは旅人や商人が多くて騒がしい。それとは真逆に、サーラたちが乗る旅客船は身なりの良い人が多く、静かで落ち着いていた。
 その様子を見て、初めての船旅に対する不安が消えていく。
 きっと大丈夫だと思えるようになったのも、すべてルースがいろいろと考えて手配をしてくれたお陰だ。船室に落ち着いたら、あらためてしっかりとお礼を言わなくてはならないと思う。
 乗船の受付をしている船員も、丁寧な対応をしてくれた。
 あらかじめ入手していた乗船券を渡し、軽い問答をしたあとに、船内に通される。
 ルースは気遣うようにずっと、サーラの手を取って支えてくれていた。外套をすっぽりと被っているサーラは身体が弱く、夫であるルースに頼り切りだという設定だ。だから食事などもすべて、個室に手配するように頼んでいる。
 同じ船に乗る人たちはそれぞれ自分たちのことに夢中で、こちらを気に掛けているような者はいない。
 それに安堵しながら、サーラはルースに連れられて、指定された個室に向かった。