婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 複数の船が出航の準備をしているらしく、乗船を待つ人々がたくさんいる。人混みに流されてはぐれてしまわないように、サーラはますます、ルースの腕をしっかりと掴んでいた。
「俺たちが乗るのは、あの船だ」
 彼の言葉に、サーラは顔を上げる。
 初めて乗る船は思っていたよりも大型で、立派な造りをしていた。
(大きな船……)
 逃亡中ということで、もう少しこじんまりとした船を想像していたサーラは、予想外のことに驚く。
(わたしたちは、この船に乗るのね)
 この港ではよく見る、荷物のついでに人を運ぶような商船ではなく、きちんとした旅客船のようだ。
 部屋も個室になっていて、あまり周囲の人たちを気にせずに過ごすことができるらしい。その分料金は高く、サーラたちと同じ船に乗るのは裕福そうな人ばかりだ。
 接する人が多ければ、それだけ見つかる危険も高くなってしまう。
 だからこそルースはサーラのために、この船で移動することを決め、ある程度裕福な商家の若夫婦を装うことにしたのだろう。
(向こうは、商船ね)