婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 この港町に来てから、数日が経過している。さすがに父も、サーラが行方不明になったことに気が付いたに違いない。
 追手は差し向けられているのだろうか。
 自分たちを探している人がいるかもしれない。
 そう思うと怖くなって、ルースの傍にぴたりと寄り添う。今のサーラにとって、頼れるのは彼だけだ。
「心配するな」
 怯えているサーラに気が付いたのか、ルースがぽつりとそう言った。
「船に乗ってしまえば、もう大丈夫だ」
「……うん。ありがとう」
 彼の言うように、船で逃げればそう簡単に追いつかれることはないだろう。辿り着く先はルメロ王国であり、目的地はさらにその先のティダ共和国だ。
 心強い言葉に、不安が和らぐ。
 感謝を込めて礼を言うと、彼は柔らかな笑みで答えてくれた。
 彼のお陰で、こうして逃れることができる。
 何も持たないサーラには、その恩をどうやって返したらいいのかわからないけれど、いつか必ず、返したいと思う。
 港はとても混雑していた。