婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 そして、家を出ていけと言った、父の冷たい声。
(お父様、お母様。わたしは役立たずの娘でした)
 父にとって自分は、道具のようなものだったのかもしれない。
 それでも、育ててもらった恩はあった。その恩を返さずに、自分の人生を生きようとしている。
 サーラに命じたような人生を、自分たちも辿ってきた父と母にしてみれば、恩知らずの親不孝な娘だ。
(……ごめんなさい。でも、わたしにはもう、お父様が望むような娘にはなれません)
 いろいろなことがあった。
 過去の苦しみやかつての責任、家族や生まれ育った祖国への愛着。すべて、ここに置いて行こうと思う。
 何もかも捨てて、新しい自分になる。
 それを選んだことによって背負う罪や試練もあるかもしれない。
 でも、自分で選択した未来だ。
 どんなことでも、受け止めていこうと思う。
 そう決意したサーラの瞳に、もう迷いはなかった。

 そして、ようやくこの港町を出発する日が来た。
 早朝。
 まだ薄暗い部屋を、サーラは見渡す。