婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 それを手助けしてくれているルースが、まさか帝国出身の上位貴族かもしれないなんて、皮肉なことかもしれない。
 でも、もしルースが帝国貴族だとしても、今のサーラには関わりのないこと。
 もう公爵令嬢でも、王太子の婚約者でもないのだから。

 それから数日間。
 サーラはこの港町で、ゆっくりと過ごした。
 身体はもう回復していたが、船の手配の関係で数日は待機する必要があったのだ。そのお陰で、旅の疲れもなくなっている。
 港町の賑わいに興味はあったが、ここはまだリナン王国だ。父の追手がこの辺りにいないとは限らない。だから部屋から出ないで、窓から外を眺める時間が多かった。
 そして毎日のように、生まれ育った公爵家の屋敷や、色々なことがあった学園。そして、妃教育のために通っていた王城のことを思い出していた。
 蘇る記憶は、ほとんど痛みを伴うものばかりだ。
 サーラを責めるカーティスの声。
 勝ち誇ったようなエリーの顔。
 カーティスの取り巻きたちの婚約者から向けられる、勝手な期待と失望の視線。