婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

「そうだな。俺は海のない国で生まれたから、今でも少し珍しく思う」
「海のない国……」
 この大陸で海に接していない国は、中央にあるソリーア帝国だけだ。
 サーラの婚約者だったカーティスの、母親の出身国である。
「もしかして、ソリーア帝国?」
 無意識にその名を口にしてしまったことに気が付いて、はっとする。
 つい先ほど、彼の過去を興味本位で聞いてはいけないと思ったばかりだというのに。
「ご、ごめんなさい……」 
「いや、謝る必要などない」
 急いで謝罪したサーラに、ルースは穏やかな声でそう言った。
「この大陸で海のない国は、ソリーア帝国だけだ」
 そう言われてみれば彼の黒髪は、この国ではとても珍しいが、帝国の貴族によく見られる色だ。
 ソリーア帝国を恐れて、国王は今までカーティスを廃嫡できずにいた。そのカーティスを何とか廃嫡するためにサーラは利用され、それから逃れようとここまで来たのだ。