婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 ルースのことをもっと知りたいと思い始めている自分に気が付いて、サーラは慌ててその好奇心を押し込める。
 人の過去をそんなふうに詮索するなんて、いけないことだ。
 まして彼の過去には、妹を失ったという痛みが伴っている。興味本位で聞いていいことではない。
「どうした?」
 窓の外を見つめて、首を振ったり両手を握りしめたりしていた様子が、不審だったのかもしれない。
 急にルースに声を掛けられて、サーラはびくりと身体を震わせた。
「いえ、何でもないです。ただ、港町がこんなに賑やかだとは思わなくて」
 少し声が上擦ってしまう。
 不審に思われないか不安で、そっとルースを見上げたが、彼の視線は窓の外に向けられていた。
「船が到着したときは、いつも混雑するらしい。町には出ないほうがいいだろう」
「ええ。こうして眺めるだけで充分です。外に出るのは、少し怖いから」
 ただ、ここからだと港は見えても、海があまり見えないのが残念ではある。そう口にすると、ルースは同意するように頷いた。