婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 寝台がふたつ。テーブルがひとつに、椅子がふたつ。あとは荷物を置くスペースがあるくらいの狭い部屋だ。窓には手縫いのカーテンが下げられている。ルースはすぐに、その窓にも鍵がついていることを確認すると、カーテンを閉めた。
「疲れただろうから、休んだほうがいい」
 そう言われて、素直に寝台に横たわる。
 たった一日野営をしただけ。でも、こうして横になって眠れるのは、とてもしあわせなことだと思う。
 むしろ今までの自分が、何も知らなかったのかもしれない。
 父に支配され、ただその命令に従うだけの日々だったが、衣食住に困ったことは一度もなかった。それだけで、とても恵まれていたのだ。
 疲れ果てていたこともあり、昨日の夜とは違ってゆっくりと眠ることができた。それどころか、そのまま昼過ぎまで眠ってしまったらしい。
 自分が思っていたよりも疲れていたらしく、目が覚めたとき、すぐにここがどこなのか思い出せなかったくらいだ。
(そう。わたしは、ルースさんと一緒に逃亡中だったわ)