婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 それほど高級でもなく、治安が悪いほどの安宿でもない。ほぼ満室だったため、部屋はふたり一緒になった。ルースは別の宿を探そうとしていたが、サーラが止めた。
 これ以上彼に、手間を掛けさせるわけにはいかない。それに、見知らぬ町でたったひとりになるほうが不安だった。
 今日泊まることになった宿屋は、木造の二階建ての建物だ。
 古びてはいるが、明るくて優しい雰囲気の宿のようだ。女性客も多く、受付や階段の踊り場には小さな花が飾られていて、旅の疲れを癒してくれた。
 ふたりに宛がわれたのは、二階の角部屋だった。客に女性が多いせいか、各部屋にしっかりと鍵がついている。ルースがこの宿を選んだのも、それが理由のようだ。
 鍵を開けて、扉を開く。
 ルースが先に入り、サーラはそのあとに続いた。