ひどい目にあったなぁとハンカチで顔を拭いていると、秋葉がイルカを指さした。
「あのイルカ可愛いな」
声を上げながらこちらに手を振るイルカに、秋葉は頬をほころばせる。
もしかして秋葉、イルカが好きなのかな。
「キュキューッ」
可愛らしい声を上げ、イルカたちがプールの中を元気よく泳いでいく。
秋葉は目を輝かせて手を叩いた。
その無邪気な笑顔に、私はちょっと可愛いな、なんて思ったりして。
良かった。最近は難しい顔ばっかりだったけど、少し元気が出たみたい。
「良かった」
思わず口に出す。
「ん?」
「ううん、秋葉、ずっと難しい顔をしてたけど、元気が出たなぁと思って」
「ああ」
秋葉は恥ずかしそうに少し赤くなると、視線をイルカに移した。
「悪い、不機嫌そうに見えたか?」
「でも、新商品のことで忙しいから、仕方ないね」
「でも今日は本当にリフレッシュできて楽しかったよ。ありがとう」
「ううん、莉茉ちゃんがチケットをくれたおかげだよ」
「いや、その作戦を考えたのは俺だから、俺に感謝しろよな」
胸を張る清ちゃん。その背中を、秋葉がどついた。
「調子乗んな!」
そこへ目の前でイルカが跳ね、またしても秋葉と清ちゃんの顔がびしょ濡れになる。
「ぶっ」
「ひでー、びしょびしょ!」
ずぶ濡れになった二人。
ふふ、この二人、何だかんだで気が合いそうかも。


