「ねぇねぇ、あの子、可愛い!」
「一人かな? 逆ナンしちゃう?」
近くを歩いていたお姉さんたちの声がして、私は慌てて秋葉の横に走っていった。
「秋葉、待ってよ」
私の声に、秋葉が顔を上げる。
「別に、俺のペースに合わせなくてもゆっくり見てていいぞ」
「で、でも、横に居ないと居なくなっちゃいそうで……」
キレイなお姉さんたちにナンパされたら大変!
そう思っていると、秋葉はずっと右手を差し出した。
「ん」
えっ?
私は状況が理解できなくて秋葉の顔と手を交互に見た。
「何?」
「何って、手だよ。繋いどけば、はぐれないだろ」
私の手を強引ににぎってくる秋葉。
全身の血が沸騰したように熱くなった。
ウソ。
秋葉と手を繋いでる……。
とくん……とくん。
うわあ、心臓が飛び出そう。
私がドギマギしていると、秋葉はクスリと笑った。
「花帆、右手と右足が同時に出てる」
「はっ!」
しょ、しょうがないじゃん。
男の子と手をつなぐのなんて初めてなんだから!