「そ、そうなんだ」
まあ、ニセ彼女だってことや同居のことは知られてないからそれでいいのかな?
そんなことを考えていると、秋葉が奥から出てくる。
「おい、花帆、お前何やって――」
「やあ、卯月秋葉!」
清ちゃんが手を挙げて挨拶すると、秋葉はあからさまに嫌そうな顔をした。
「げっ、お前、こいつに店のこと話したのかよ!」
「ごめんごめん、秋葉くん。私が話したんだー」
莉茉ちゃんが謝ると、秋葉はチッと舌打ちした。
「おい、客に向かってその態度は何だ。ちゃんと案内しろ」
清ちゃんが言うと、秋葉はイヤそうな顔で接客を始めた。
「……いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
「そうだなあ、じゃあ、お茶うけになるような和菓子を見せてくれ」
「それでしたら――」
秋葉と清ちゃんがなにやら話し始めたので、私は莉茉ちゃんに駆け寄った。
「莉茉ちゃんは、何か欲しいものある?」
「うーん、何か家にお土産に買って帰りたいけど、おすすめはある?」
「おすすめは、このおはぎかなあ」
「じゃあ、それにしよっと」


