そう言って、私の肩をぐっと抱き寄せたのは秋葉だった。

 ひええ! 体が! 密着してる!

 私が固まっていると、清ちゃんはキッと秋葉をにらみつけた。

「どうだか。花帆は迷惑してるみたいだけど」

「は? それは勝手にお前が思ってるだけだろ」

 秋葉は鋭い目付きで清ちゃんをにらみ返す。

「それともお前、花帆のことが好きなの?」

 えっ、何言ってるの、秋葉ったら。

「あ、秋葉くん、清ちゃんは、私の幼馴染で、その保護者的な立場というか……別にそんなんじゃないから」

 慌てて説明する。

「何、何ー? 修羅場?」
「あの子、秋葉くんがいるのに他の男と!?」

 そんなヒソヒソ声も聞こえてくる。

「うるっせーな、黙れよ」

 秋葉が言い放つと、教室はシーンと静まり返った。

「……とにかく」

 清ちゃんはコホンと咳払いをして言った。

「花帆を傷つけたら許さないからな」

 そう言って、清ちゃんは自分の教室に帰って行った。

 わわわ。大変なことになっちゃったな……。

「ちょっと聞いてよ、花帆ー、私、テストの点数悪すぎで補習かもって……」

 そこへ先生に呼び出されていた莉茉ちゃんがのんきな顔で戻ってくる。

「あれ、どしたの?」

「ううん、別に……」

 私が首を横に振ると、秋葉は自分の席へと戻っていった。

 私は小さくため息をついた。

 はあ、莉茉ちゃんは気楽でいいよね!