莉茉ちゃんはキラキラと目を輝かせる。

「やっぱり高校生たるもの彼氏ぐらいいないとさ!」

 莉茉ちゃんが手を握って力説していると、後ろから声がした。

「何浮かれたこと言ってんだよ、莉茉、バカじゃねーの」

「せ……(せい)ちゃん!」

 後ろに立っていたのは、背の高い短髪の真面目そうな男子。

 清ちゃんこと清志郎(せいしろう)だ。

 清ちゃんは、隣のクラスの男子で、私と莉茉ちゃんとは小学生の時から一緒なの。

 小学生の時からクラス委員長をやっていて、部活動でも小・中と野球部のキャプテン。

 面倒見がいいから、昔からいつも助けてもらってた。

 男の子が苦手な私が唯一話せる男子生徒でもあるんだ。

「もうっ、清ちゃんったら、バカだなんて酷い!」

 莉茉ちゃんがプンスカ怒る。

「バカだからバカって言ってるんだろ。全くチャラチャラして。学校は勉強する場所だぞ。少しは花帆を見習えって」

 ため息をついてヤレヤレと頭を振る清ちゃん。

 さすが清ちゃん。

 相変わらず硬派で真面目だな。

 見た目も悪くないし、二年生ながら野球部のレギュラーでそうとうモテるはずなのに、女の子に興味ないんだもん。